uneyama記録

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第4回検討会

少し間が空きましたが第4回検討会が行われ、資料がアップされています。
今回で一通りの検討課題が出そろったということで、次回以降報告書の作成に向けて検討されることになります。
これまでの資料をまとめて眺めてみると、それなりの全体像がつかめるかもしれません。
http://www.caa.go.jp/foods/index9.html
少なくとも一部のメディアが報道しているような「トランス脂肪酸表示のための」検討ではないことは明確でしょう。
報告書のたたき台が提示された後は具体的文言についての意見が出るだろうと思うのですが、細かいことを議論する場合にも、大きな目的を忘れないようにしたいものです。

糖尿病の要因について、思うところをid doramaoが記します

前回のエントリで折角脱線していただきましたので、食品表示から少し離れて思うところなどを書かせていただきます。個人的解釈なども含みますのでその点、どうぞご了承下さい。
■糖尿病の要因と対策
 uneyamaさんは糖尿病に関連する要因のウチ、日本人と欧米人で異なる4つの要素を挙げました。私はその中でも『遺伝子』の違いが根本にあって、そこに他の要素がそれぞれ影響を与えているのだろうと考えております。
 その理由としては、日本人はアメリカ白人と比較した場合インスリン分泌能自体が少ない事が示唆されていること。インスリン抵抗性を示さないまま発症する糖尿病の割合が多い。この二つを考えれば、やはり『遺伝』の影響は大きいのではないでしょうか。
 そして、遺伝の影響に、高炭水化物食や様々なストレス、胎内での栄養状態など様々な要因が重なり、糖尿病の増加に結びついたのだと思います。
uneyamaさんが述べているように、日本人の糖尿病者を見ると、過体重にあるヒトは勿論おりますが、多くのヒトはそれほど太っていないのに発症している事を無視できません。私は以前、自ブログでその事について述べたことがあります。
糖尿病の食事療法で個人的に思うこと①
これはその記事に載せたものです。

太りすぎていないのに、糖尿病が増えたのはやはり食の欧米化による影響なんじゃないか?そう主張する人は多いのですが、私はその考えにあまり賛同いたしません。私の意見は次の通りです。
1つめ:食の欧米化というよりも近代化により、精製された消化のとても良い食品が増えたこと。(欧米は未精製穀物の推奨で日本よりも多くの食物繊維を摂取しているのが現状)
2つめ:運動習慣を持つ者の割合が減ったことや、デスクワーク主体の労働環境に変化した事。

 特に2番目の影響がとても強いのではないかと考えます。糖尿病を発症した方から、自身の過去を振り返ってもらった場合に所謂望ましいとされるような日本食を適度に食べていた方が大勢いらっしゃいます。そして、必要以上に食事を制限し、やせ細っている場合もよくあります。
 糖尿病者の多くが、死亡のリスクが少ないBMIに位置していると謂う事実を考えれば、グライセミック指数に着目した食事を心がけ、望ましい体重を維持したまま血糖コントロールを行う事はとても理にかなっていると思います。勿論、明らかに過体重にある人は減量が必要なのはいうまでも無いことですが。そして、減量を行うことを考えれば、極端に油を控え結果的に糖質量が多い食事になってしまうのは避けたいところです。
 食育がごはん食推進運動と見分けが付かないという現状ではしょうがないのかも知れませんが、その前に運動でエネルギー消費量アップという目標を達成しないと、糖尿病患者は減らす事は出来ないと思います。
 ごはん食推進の為には運動が不可欠と思います。ライフスタイルを変えるのは容易ではありませんが、やたらと自分の好きなものを禁止されるのもどうかと思います。体に入る糖質の種類に気を配り量を適量に抑えれば、血糖値もある程度コントロールする事が出来ます。砂糖よりもでんぷんの方が血糖値を上げやすい事を知らない方もまだまだおります。
 カーボカウント薬物療法を実践している糖尿病の方が安心して食品選択をする為には、食品表示が大切になると思います。(その他の食事療法を選択している方にも大事です)
 それはどのような糖(ショ糖なのか、果糖なのか、デンプンでもアミロースなのかアミペクチンなのか)がパック全体に何グラム含まれているのかという情報です。何となく不安な食品を避けるのと違い、切実な問題だからです。

糖尿病と食事 やや脱線

栄養成分表示検討会の中ではこれまでの経緯などから心血管系疾患(トランス脂肪)と高血圧(ナトリウム)については話題になっていましたが、doramaoさんもご指摘の通りやはり糖尿病も重要でしょう。

最近EFSAが各国の食品群別摂取量データベースを発表したのでそれと日本のデータを比べた表を作ってみました。

日本人の場合欧米人に比べてBMIがあまり高くないのに糖尿病になるということがあって、それが肥満の基準をBMI 25にする根拠の一つになっていると聞いています。でも死亡率ではBMIの数値は白人とあまり変わらないのです。日本人は糖尿病になりやすいのか?なりやすいとしたら何が原因なのか?その対策には欧米人より痩せることが最適なのか?というのがこの記事のテーマです。

これまで糖尿病と関連する可能性が示唆されていて日本人と欧米人で違いそうなものをあげてみます。
・遺伝子
・炭水化物の摂取量が多く脂肪が少ない
ヨウ素、水銀、ヒ素カドミウムなどの摂取量が多い
・戦中戦後にたくさんの人が栄養不足を経験した

特に表から読みとれることは、日本人は油の摂取量が少ないということです。たとえば同じ炭水化物であってもパスタなら多分オリーブ油と一緒に摂ることが多くて、単純に考えればみそ汁とご飯より血糖値は急速に上がりにくいのではと思います。
日本人の食生活が欧米化したとか言われますがこの表を見る限りどこが?と思います。もちろん昔よりは欧米に近づいた、のかもしれませんが。
ちょっとdoramaoさんに意見を聞きたいところです。
ちなみに日本人の卵の消費量が多いのは、卵が好きということもあるでしょうがなんと言っても安いからだと思います。欧州は動物の福祉という理由で鶏を飼うためのコストがとても高いです。でも牛肉より卵のほうが同じタンパク質あたりの環境負荷が小さいのでは。感情と環境も両立しないのかもしれません。

どのように伝えるのか(意味のある活用を目指して)id doramaoが記します

 第3回「栄養成分表示検討会」の資料の中で、畝山さんがオススメしていた蒲生委員の資料を読んでみました。内容の一部について個人的に思ったことを少し述べます。次に蒲生委員も必要性を説いている、栄養成分表示についての教育もとても重要な要素だと思います。教育については第3回の議事録がでてから改めて意見を述べてみたいと思います。


■流行と表示義務
 蒲生委員の指摘は視野が広くとても参考となりました。フードファディズムという観点の導入は、望ましい栄養成分表示のあり方を考えるに際し、大変重要なものであると私も考えます。
 例えば、ある栄養成分(栄養素)を積極的に摂取する事が流行った(若しくは危険である)として、その流れから当該成分についての表示を求める声が高くなったとします。では、その意見は参考にされてしかるべきなのでしょうか。大切な事は流行の有無だけでなく、その根拠であるわけです。当該成分が常軌を逸した食べ方をしない限り体に影響を与えないようなものであれば、表示をする事による実質上の利点は見つけられません。
 一時の流行に流されて表示の義務化が行われたとしても、一度義務化されてしまえば、それを取り下げる為のハードルは高くなると思います。また表示が義務化されているという事だけで、国のお墨付きがあると受け取られるなど実際以上に評価(正でも負でも)されてしまう事でしょう。
 なので、流行や注目などの多寡ではなく、公衆栄養の向上にどれだけの影響があるかというような現時点での根拠に因ってその選定はされる必要があると感じます。


■栄養成分表示を必要とするヒト
 蒲生委員は栄養成分表示の対象者について、以下の資料中で次の様に述べております。
【資料3】「消費者の適切な食行動を助けるために〜栄養成分表示の活用と消費者の食行動〜」(蒲生委員資料)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin511.pdf

pdf27頁目 2.5栄養成分表示は誰がどのように活用すべきか
 栄養成分表示は広く国民一般が利用するものだが、誰を対象にしたものか考えると、食事摂取基準の対象がそうであるように、「食事療法や食事制限を必要としない健康な人」となるだろう。

 資料で述べられている蒲生委員の意見には概ね賛成なのですが、この部分については私は違う意見を持っております。
 食事摂取基準は確率論的な考え方で求められたモノであり、個人に当てはめた場合に適切とは必ずしもいえないものです。それに対して、栄養成分表示に示された栄養量は誤差があるものの、当該食品を食べる事で概ね表示されている量の栄養素を摂取できる事が期待されます。
 その違いから、食事摂取基準は特別な状況にある人に対する直接的な栄養指針にはなり得ませんが、栄養成分表示は栄養摂取に特別な配慮が必要な人の参考になるものだとわかると思います。
 むしろ、食事を考える上で、何らかの栄養素について摂取量の配慮が必要な人ほど栄養成分表示が大事になると私は考えます。
最近、糖尿病の食事療法で総エネルギーだけでなく糖質量に着目するカーボカウントが広く用いられるようになりつつあります。ところが、現在利用されている食品交換表には参考になる糖質量が示されておりません。患者さんは食品成分表などを参考にします。カーボカウントを実践する人にとっては、わかりやすい栄養成分表示はたいへん参考になる事でしょう。
 同じく、腎臓病ではたんぱく質量やカリウム量が参考になります。普段の食生活が予後に大きく影響を与える病気については、患者自身のコントロールの有無が大変重要になります。医療資源は有限であることを考えても、患者自身が適切な食事療法を実行できる事が大切になってくるでしょう。これらの必要性の高い情報は医師や管理栄養士などから示された食事を実現できるように、なるべく分かり易い形で整備されて欲しいものと私は考えます。


→ここからuneyama
栄養成分表示は誰のためのものかということは前回少し話題になりました。糖尿病の食事指導にとって役に立つようなものがいいという意見に対して座長が病者対策は別途というようなことを話しておられたように思います。また消費者団体の方から、妊婦にとって大切な葉酸の表示を、という要望もでました。一方でそもそも栄養成分表示を気にしているような人はもともと気を遣っている人たちで、ほんとうに見てほしい、食生活に無頓着な人たちにとってはとにかく簡単でわかりやすく単純でないといけないだろう、ということもあります。
どちらももっともなので、両方満たすとすると包装表面にわかりやすいシンボルのFOPプラス背面に個別栄養素表示みたいな形になるのでしょうか?そうするとさらに業者のハードルがあがり検討するべきことが増え・・・という話になってしまいますが。
さらに佐々木先生から、そもそも加工食品にだけ表示があっても食生活全体の一部でしかないという指摘もありました。葉酸などは特にそうでしょう。主要摂取源が葉物野菜なのに加工食品にだけ表示があってもあまり役に立たないでしょう。
表示にできること、できないこと、誰がどう使うのか、という問題はもっと考える必要があると思っています。

第2回議事録と第3回資料

第2回「栄養成分表示検討会」議事録が掲載されました。

第3回資料も掲載されています。
http://www.caa.go.jp/foods/index9.html
この中でのお勧めは蒲生さんの資料です。
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin511.pdf
前半がパワーポイント、後半が説明文書になっています。

とりあえず資料の紹介のみ。

栄養成分の分析や表示に関する諸問題 ohira-y記す

消費者庁から「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」が公表されました。


消費者庁 トランス脂肪酸に関する情報 http://www.caa.go.jp/foods/index5.html


今回は栄養成分の表示にかついて、トランス脂肪酸の表示にかわるコストや、栄養成分表示と分析値の誤差などの表示に関して気になっていることを書いてみたいと思います。

表示にかかわるコストについて


栄養成分表示を行うに際して、日本食品標準成分表と配合を元に計算で求めることも可能ですが、多くの企業では実際に分析した数値をもとに表示を行っていると思います。大きな会社では自社に分析施設を有している場合もあり得ますが、多くの場合は外部の検査機関に依頼します。この外注費用は栄養成分表示を行う企業にとって避けることのできないコストといえます。では、いったいどのくらいの費用がかかるのでしょうか?


栄養成分分析に限らず、微生物や理化学などの分析を行う機関は多数ありますが、最大手ともいえる財団法人 食品分析センターがHPで公開している情報*1から確認してみます。

栄養成分を表示する際には、最低限 エネルギー・たんぱく質・脂質・炭水化物・ナトリウムの表示が必要です。それらの分析値を得るには基礎成分の「五成分エネルギー」(¥15,400より)とミネラル類のナトリウム(¥5,500)を併せて依頼する必要があり、合計で約2万円となります。
また、仮にトランス脂肪酸の表示が義務化された場合、これらに加えてトランス脂肪酸飽和脂肪酸及びコレステロールの分析が必要になり、更に4万2千円が必要になります。*2この、合計金額約6万2千円がトランス脂肪酸の表示を行う際に必要なコストと言えます。これは、決して小さな額では有りませんし、食品の種類にもよりますが少量多品種を短いサイクルで切り替えるような業種の場合にはかなりの負担になることが予想されます。例えば、コンビニエンスストアでは毎週10数種類のオリジナル商品(弁当やデザートなど)が発売されます*3コンビニエンスストアの弁当類などは一部を除いて販売期間は数週間であるケースがほとんどです。大口の取引先には割引料金なども適用されると思いますが、それでも原材料の値上げや販売価格の下落に多くのメーカーが苦しむ中で栄養成分表示にかかるコストが3倍になることは大変なことだと思います。


表示の無い食品と分析の誤差について


第一回の検討会において、蒲生委員が次のような発言を行っています。*4

トランス脂肪酸の摂取量が1%を超えるのではないかというグループは、脂肪の多い食品やお菓子をたくさん食べる若年の女性に多いという報告を読ませていただきましたが、 脂肪が多い食品やお菓子、例えばケーキやドーナツやフライドポテト、そういったものは 表示が必要でない対面販売で売られているものが多いわけですので、表示をすることでどれだけ効果が期待できるのか疑問に思っております。


栄養成分の表示には20%誤差(但し、項目による)が認められています。実際の表示にどの程度の誤差があるかなかなかわからないのですが、投入した原料が全て固まって出てくるような物や、均質なものであれば比較的誤差は少なく、そうでないものはバラつきが多いだろうということは想像できます。蒲生委員が指摘する対面販売の商品はまさに栄養成分の値に誤差が生じやすいと思われる商品です。そういった対面販売品について表示の状況を調査した事例はあまりないかもしれませんが、国民生活センターが過去に中食(持ち帰りの惣菜など)で調査した事例があります。


国民生活センター 中食のフライ−脂質の量と質を中心に利用する上での注意点を探る− http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20070207_1.html

目的

 中食のフライ40銘柄(コロッケ17銘柄、ロースかつ11銘柄、ヒレかつ7銘柄、エビフライ5銘柄)について、脂質の量、質を中心に、揚げ油の酸化などについてもテストし、手作りのフライとの違いや、利用する上での注意点を調べた。


結果

  • 健康との関係では、脂質摂取量は減らした方がよいが、中食のフライ1食分食べると、多いものでは脂質の1日の摂取目安を摂ってしまう
  • 中食のフライは手作りに比べ衣の率が高く、その結果、脂質も多く摂ってしまう。摂取する脂質の約7割は衣に吸収された油であった
  • ロースかつ1食当たりで多く摂取することが望ましくない脂肪酸飽和脂肪酸)については1日の摂取目安に達してしまうものが、特にとんかつ専門店で見られた。一方、摂取することが望ましい脂肪酸(n-3系脂肪酸)については、一部の銘柄を除き1日の摂取目安には達しなかった
  • 摂取すると心臓疾患のリスクを高めると言われているトランス脂肪酸が検出された銘柄があったが、食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合の摂取上限目安量の1/5程度であった
  • 中食のフライは手作りに比べ、食塩が多く含まれる傾向にあった
  • 一部で、店舗や日によっては揚げ油が酸化していたものがみられた。また、揚げ油の種類は植物油中心であったが、とんかつ専門店などでは飽和脂肪酸がやや多く含まれ、n-3系脂肪酸の含有量は店舗ブランドによって最大で15倍の差があった
  • 容器包装されている銘柄には、食品衛生法に基づく添加物やアレルギーに関する表示があったが、原材料や栄養成分に関する表示があったのはごく一部であった

(強調は筆者)


栄養成分の表示状況については報告書概要(PDF) のP9に記載があり、任意表示ながらも10銘柄中7銘柄に表示があるものの4銘柄では分析値との誤差が栄養表示基準の許容範囲を超えていたとのことでした。仮に栄養成分表示が義務化されたとしても、こうした中食や対面販売については表示することが難しく、表示したとしても誤差をどうするのかという問題が残ります。

業務用食品の表示についてはどうなる?


 検討会の資料では80%の食品に表示があったとされています。しかし、蒲生委員が指摘されているように、外食や中食ではほとんど表示ありません。こうした消費者が直接口にする食品以外に、おそらくほとんど表示が行われていない食品があります。それは「業務用」の食品です。ここでいう「業務用」とは、業務用スーパーなどにあるサイズの大きな商品と言う意味ではなく、例えば製麺所がラーメン屋に納める麺の様に消費者に直接販売されないものです。JAS法ではミートホープの事件以来、この業務用についても表示のルールが定まりました。こうした「業務用」の商品の扱いについては議論から抜け落ちている気がします。
もちろん、最終製品では無いために表示は必要ないという考えもありますし、逆に外食や中小の会社が栄養成分の情報提供する際に、原料の栄養成分がわかれば、そこから計算で求まるという考え方もあります(実際に栄養成分表から算定することも認められます)。また、もしかしたら変に義務化という話になると、こういう中間加工品を製造している業者へも最終の製品を作るメーカーや店舗から表示を求める動きが生じるかもしれません。
徳留委員の発言

もし、栄養成分表示を義務化した場合に、特に、中小企業の方の負担といいますか、そのあたりを考慮する必要があるのではないかと思います。

第1回「栄養成分表示検討会」議事録P18

にもあるように、食品製造業には中小企業が多いので一定の配慮をしていただきたいと思います。


最後に トランス脂肪酸の表示を義務化する方針と言っているのは誰?


栄養成分表示検討会がトランス脂肪酸表示の義務化に向けた検討会と巷で思われている節があります。消費者庁が「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公開したことを伝える報道においても「トランス脂肪酸の表示を他の栄養成分とともに義務化する方針」といった文言があり、トランス脂肪酸の表示が既定路線になっているように見えます。しかしながら、少なくとも日本人の大多数はトランス脂肪酸の摂取量に問題はありません。また、議事録や資料を確認する限りでは、どの委員も「トランス脂肪酸の表示ありき」で議論を行ってはいないように思えます。表示について検討を指示した福島みずほ元消費者担当相はそういう思惑を持っていたかもしれませんが、議論・検討についてはそうしたものに左右されずに行われるべきと考えます。
あくまで、日本にける栄養成分表示制度がどうあるべきかという視点を忘れないようにする必要があると思います。

報道についてのメモその2

検討会に関するものではないのですが気になる報道があったのでメモ
米国の2010食事ガイドラインに関連して

塩分減らし、果物や野菜を 米政府が食事指針 大人3人に2人が肥満で
2011.2.1

米国民はもっと減塩、菜食を−。米政府は31日、食習慣に関する新たなガイドライン「米国人のための食事指針」を発表、塩分摂取量を減らしたり、より多くの野菜や果物を食べたりすることを心掛けるよう国民に求めた。

(中略)
 指針は公立学校などでの給食の基準にもなる。肥満の因子とされる塩分を控えて野菜や果物を多く食べるほか、食事に占める野菜や果物を増やしたり、低脂肪か無脂肪の乳製品を選んだり、肉の代わりに魚介類を取ることなどを求めている。(共同)


「肥満大国」改善へ…米外食で健康メニュー続々
2011年2月6日14時55分 読売新聞

同省が5年おきに公表している「ダイエットの手引」も、今年は大幅に変更した。例えば、「成人の塩分摂取量は1日2300ミリ・グラム以下」としてきた従来の記載に、「51歳以上の人やアフリカ系米国人は1500ミリ・グラム以下」などと細分化した内容を加えた。(ニューヨーク 小谷野太郎、写真も)

ナトリウムは肥満の因子ではないでしょう。
ナトリウムと食塩相当量は数値が違ってくるので注意が必要です。
新しいガイドラインでは一般的な和食はナトリウムのせいで「健康的なメニュー」にはならないということが日本人にとっては重要なニュースだと思うのですが。

私は栄養成分検討会で「メディアには責任ある報道を」と主張したのです。そこで読売新聞の生活情報部の岡安記者がほんとうにその通りだと言っていたのですが。部局が違うとは言えなんとかならないものでしょうか。