uneyama記録

はてなダイアリー過去ログ(更新予定無し)

次回プレゼン内容

発表する前から公開で悩むことにします。理由はできるだけわかりやすいものにしたいからです。相手は全くの素人からそれなりの専門家までさまざまなので、短い時間で必要なことを理解できる形で提示できるかどうか、難しいです。
テーマは食生活全体のリスクの話と海外とのデータ比較など。内容としてはこんな感じでしょうか。
●基本的に我々(消費者も業者も研究者も)の共通目標は「すべての人々の健康と福祉の向上」であって、そのために医療制度や食の安全や経済がある。消費者と製造業者はその意味で敵ではなく利害が対立するものでもない。
●目標を達成できるのなら法による規制や行政の関与は少ない方が良い。(費用対効果分析に行政費用をどう算入するのかよくわからないが)
●食品にはもともと膨大なリスクがある。その大部分が微生物や食品そのものの、「天然」由来である。だから食品安全確保のために「リスク分析」をもとに合理的対策が必要である。
●食中毒菌や有害重金属やカビ毒などのようなハザードについては基本的に少なければ少ないほどリスクは小さい。しかし栄養成分については少なくても多くてもリスクがある。だからリスクコミュニケーションは他のハザードより難しいかもしれない。
●日本人の健康関連指標は肥満を筆頭に欧米先進国と比べるとかなり違う。食生活も違う。なのにデータは欧米のものに依存している。
●日本人が欧米より多く食事から摂っているもの:塩、カドミウムメチル水銀ヒ素ヨウ素、野菜や果物、オメガ3脂肪酸。少ないもの:脂肪、飽和脂肪、蛋白質、カロリー、乳製品、など。他には?
●日本人にとって疾患負荷に寄与している最大の食事要因は多分塩。酒とたばこはもっと大きいけれど。
●栄養成分表示が健康上の効果につながったという事例は実はない。米国は栄養表示導入後も着実に肥満は増加している。一時期脂肪を悪者扱いした結果、脂肪ゼロの製品がたくさん出回ったが脂肪ゼロでもたくさん食べれば体内で脂肪に変わるだけなのに、消費者は脂肪がゼロだから良いと認識した。一方で摂食障害を悪化させるという指摘があったりする。米国では現在もっと単純でわかりやすいものとしてFOP(包装表面への表示)を検討中。
●栄養以外でも食品の表示は「消費者の希望」にこたえる形でいろいろな項目が増えているが、安全性とは関係ない項目を安全性と関連するとみなしているといった誤解が多い。表示項目が増えると重要な項目が見逃される可能性が高くなり、必ずしも消費者の利益にはならない。また「消費者の希望」がもともと誤解によるものである場合などは誰にとってもメリットはない。消費者の選択権が確保されるためには「消費者が正確な情報をもとに判断できる」という前提条件が必須で、食品に関する現状はそれとは程遠い。



問題はどういうデータをどう紹介すればわかりやすく説得力あるものになるのかな、ということです。

参考リンク
基本的な統計情報
WHO World health report 2010
http://www.who.int/whr/2010/en/index.html

GLOBAL HEALTH RISKS
http://www.who.int/healthinfo/global_burden_disease/GlobalHealthRisks_report_full.pdf

OECD Health Data 2010
http://www.oecd.org/document/30/0,3746,en_2649_37407_12968734_1_1_1_37407,00.html

厚生労働省関連
人口動態調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1.html
国民医療費
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/37-20.html
患者調査
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html

論文等
Heart Disease and Stroke Statistics 2010 Update:
http://circ.ahajournals.org/cgi/content/short/121/7/e46

INTERHEART studyとINTERSTROKE study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(10)60975-0/fulltext

BMIと死亡率
Body-Mass Index and Mortality among 1.46 Million White Adults
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1000367
日本人
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/250.html

食品安全委員会
リスク評価結果の解説
http://www.fsc.go.jp/hyouka/risk_hyouka.html

日本の研究状況
世界における我が国の健康栄養関連研究の状況と課題
〜論文を用いた国別・機関別ランキングによる分析〜
http://www.nistep.go.jp/achiev/ftx/jpn/dis072j/pdf/dis072j01.pdf