uneyama記録

はてなダイアリー過去ログ(更新予定無し)

第一回検討会の感想

第一回は事務局からの説明と比較的自由な意見交換といったところでした。
座長は坂本元子和洋女子大学学長です。
私は事前に次回での意見を求められていたので皆さんの意見をとにかく聞いておりました。ほぼ全員が発言していて活発な意見交換がなされたという印象です。議事録はいずれ公開されると思うので、私が気がついた(というか印象に残った)意見を順不同でピックアップしてみます。
・消費者団体の人の意見から、トランス脂肪酸そのものが直接心臓に悪いと誤解されているような気がした。トランス脂肪酸のとり過ぎは血中LDL濃度を高くしHDL濃度を低くする。これが心血管系疾患、特に冠動脈心疾患(要するに心筋梗塞)のリスク要因であることがわかっている。なので心疾患リスクとされている、という話なのだけれど。血中脂質の異常値は数少ない「確立された代用エンドポイント」で、ストーリー全体としてはそんなに間違っていないだけに何が誤解なのか理解してもらうのは難しいかもしれない。極端な話、トランス脂肪酸の摂取量がとても多くても血中脂質には何の問題も無い人がトランス脂肪酸摂取量を減らすべきなのかどうかについてはわからない。これは「ごはん」でも「お肉」でも一緒で、食べ過ぎでリスクになるかどうかはその人の他の要因にもよるとしか言いようがない。この辺がヒ素とかカビ毒のような有害物質とは違う。
・食品成分表と食事摂取基準と栄養成分表示は関連すべき。食品成分表に記載のない成分を表示義務とするのはおかしいという業界の人の意見はもっともだと思った。もし表示を求めるなら、中小企業であっても表示できるように、原材料から栄養成分を計算できるようなツールの開発などの支援が必要だろう。その場合結果的に実際の商品と計算値との誤差が20%などの数値より大きくなっても根拠が示せればいいというような措置が必要だろう。海外のメディア報道で消費者団体が実測値と表示が違うと問題にすることがよくあるけれど、意味が無い。消費者団体の方が、違反は厳罰にしろとか規制はとにかく厳しくという主張をしていたので、栄養成分表示は消費者教育とセットでなければ害にしかならないだろうと思った。
消費者庁の資料で、ヨウ素が「不足が問題となる栄養成分」に分類されていることに違和感。日本人はとり過ぎのほうが問題なのに。消費者庁の責任ではないと思うけれど、このへんの栄養学の学術情報のアップデート状況がよくわからない。
・規制影響評価が必要という話
・そもそも論・・栄養成分表示で何を目指すのか、といった基本的合意が必要。